目次
規則を破る天才
天才とは
将士に必要な「規則など当たり前のことをしっかり守った上で、規則を無視する」の前半の部分は説明が終わりました。
問題の後半の規則を無視するということを紹介します。
先に知っておいていただきたいのが、クラウゼヴィッツの戦争論では基本的に「理論や基本原則はも持っていた方がいい」考えとなっています。
ただ、これには唯一例外があります・・・
それが天才の振る舞いです
もちろんこの規則を無視するの内容は、ごみのポイ捨てをするみたいに単純なものではありません(笑)
ただ単に規則を破るのは「中途半端な破天荒」、逆にただ守るだけは「中途半端な秀才」です。
詳しく言うと皆が規則として固まっているものの根底を理解して、そして奇襲として規則を破り成功するです。
ナポレオンの戦略
実際に天才の振る舞いとして、クラウゼヴィッツが見本としたナポレオンの戦い方から説明しましょう。
諸説ありますがナポレオンの戦が今まで戦いで大きく違うところは二つありました。
それが食料の現地調達と市民の兵士化の2つです。
食料の現地調達
腹が減っては戦はできぬという言葉通り、戦では食糧が武器と兵と同じくらい大切です
戦場が他国になることも多く、自身の国で食糧を用意してそれを荷車に乗せて遠くの戦場へ赴くこともありました。
そのため、敵が動き出したという情報が届くと作戦本部は地図を広げて「食糧を乗せた荷車」があり、かつそれを守る部隊もいながら移動している想定で進行ルートや現在位置、そして戦闘場所を考えます。
しかし、ナポレオンは違いました
まず、食糧を兵士人一人に携帯食糧を持たせ身軽にして、さらに敵国から食糧を奪うなど敵が思っている以上の速さで移動を行いました。
一見ちょっと移動が速くなっただけで大きく変化はないように見えますが、敵からしてみると想定してないところから敵が現れることと同じ状況でした。
これは陣営なども崩され一気に敗因に繋がってしまう程重大な問題です。
食糧を敵陣で確保するという戦法は、当時他の国にすぐに作戦内容がバレることはなく、対策が行われる前にナポレオン活躍が火のように広がったというのも納得いきますね。
市民の兵士化
市民が兵士になる。
おそらくほとんどの人は戦争で戦う役目の兵士は徴兵制度のように自国の国民だと考えると思います。
しかしナポレオンは自国の兵士だけではなく、敵国の国民を自軍の兵士にすることで一気に戦況を覆す戦法を実現しました
どうやって!?と思うかもしれませんね
答えを簡潔に言うと「革命活動」を利用したです。
ナポレオンが活躍していた時代は革命活動も盛んに行われておりました。
しかし、革命と言っても戦うのは基本「市民VS兵士」で、数は有利としても武器など装備の差があります。
そこであらかじめ敵国の市民の生活環境や革命の意思があるかどうかを調査しておき、敵国の兵士がナポレオンと戦おうと出兵した時を見謀り革命を起こさせました。
そうなると敵の兵は、前はナポレオンの軍隊・背は革命を起こした市民という板挟み状態となります。
敵は革命を起こした市民とも同時に戦うなんて思ってもいなかったので上と同じ「敵がいきなり現れた状態」と同じになります。
もちろん戦に市民の革命活動を使うという考えなんて「戦で戦うのは兵士」という規則で固めていた司令部には思いつかなかったことでしょうね。
以上をまとめると
食糧は自国で用意して戦をする
→食糧を現地調達という形で規則を破り、敵の想定より速く移動する。
「戦で戦わせるのは兵士」
→革命を利用して市民を戦わせて挟み撃ちにする
という規則破りによってナポレオンは勝利を重ねました。
自分は天才でなくてもよい
投資で成功するには天才にならなくては!!と思うかもしれませんがその必要はありません。
自分自身は天才でなくても天才のいるところに投資すればいいのですから。
自身が天才になるというのは言わば規則を破り成果を出すということですが、これはかなりのハイリスク・ハイリターンです。
今までの規則を凌駕した事業を自分で行おうと思ったらまず資金がいります。
さらに規則を無視して利益を生んだとしてもそれが違法で有ればすぐさま地に落ちてしまいます。
では、どうすればいいか具体的に説明しましょう。
まず見たいのが会社の顔である社長が天才かどうかですね。
会社が発展するかは社長次第という言葉があるように、その社長がどのような考えを持ち、そしてどういう型破りをしようとしているかに注目しましょう。
他には所有している特許に注目するのもよいかもしれません。
特許は言わば企業の経済価値のアドバンテージであり、過去の型破りの成功指標です。
検査や試験で使用する精密機械などの生産には必ず特許が関係するので一度その視点を持って会社を見てみるのはどうでしょうか?
もちろんこれは国家間でも有効です。
特許を持っている数はその国の教育等の比較に使えます。
一度の失敗が50年間影響すると言われる外交官や大統領について知っておくだけで貿易摩擦と言ったリスクの心構えができます。
1 天才は無意識に広がっている規則を調査して規則を無視する
2 投資では無理に自身が天才にならなくてもよい
3 型破りや特許を中心に社長や国を比較する
判断の三位一体
戦いの多面性
戦争は複雑怪奇で捉えることが非常に難しいです。
それはフィールドや天候といった運だけではなく、人間の判断も戦況として混ざるからです。
兵士一人一人の人生背景まではさすがに追い切れないので「兵士はまず裏切ることはない」という前提でお話します。
戦場で人間的判断として全体的に影響するのは戦略を考えたり相手の作戦に対抗策を考える将士です。
そして、将士は正しい判断を行うともに感情的重視の判断を行ってはいけません。
そのため、クラウゼヴィッツは「独特の三位一体」という3つの切り口が時と場合によって見せる面が変わると考えました。
動物的・精神的・知力的
一つ目の多面性は「動物的本能」です
これは盲目的な本能と見なされており、憎悪や敵意を伴う暴力行為を行おうとする本能です。
憎悪や敵意に駆られて「敵を倒してやる!!」や「全滅させてやる!!」と突き進んでいく面で、考えがあるないに関わらず行動を起こしてしまうことがあります。
戦において将士などがこのような動物的本能丸出しの作戦を執り行うのは持っての他です。ただ、孫子の兵法など兵士対してはこの本能だけを考えさせるのが良いという作戦もあり、戦いから逃げないようにしてなんとしても敵を討ち取らせようとした歴史もあります。
二つの多面性は「精神力」です
戦は確かさと偶然性の賭けで、ある意味2つが混ざっているおかげで戦争を自由な精神活動とも説かれててます。
なにより先が見えずに何が起きるかわからない時、精神面が発揮されます。
そして危ないと見て立ち止まったり、時には行くしかないと勇気を出して進む判断を決めます。
現実において必ず予測通りになるとは限りません。
これを考えて勇気を持って行動に移し、そして不安だけで途中で投げ出さず、時には最悪な状況に陥る前に撤退を決めるという精神が将士には必要不可欠です。
最後の多面性は「知力」です。
クラウゼヴィッツは「戦争が単純に知性に帰属する政治のための手段であるという従属的(強いものに頼ったり言いなりになる)性質である」と位置づけております。
つまり何が自分たちの利益になるのか計算してそれを手に入れるべく振る舞うということです。
成功確率が高いからといって膨大な資金を使っても利益という結果が出なければ意味がありません。
ある場所での戦いに勝ったとしても最終的に土地や資源などを獲得といった勝者の意志を強要させることができなければ意味がありません。
戦争とはただ勝つのではなく敵と調停条例を結ばせ、土地の所有権などの意志を相手に飲ませることが目的です。
不安は伝播する
もし将士が精神的・知能的に弱いとどうなるでしょうか?
すぐ想像できるように一兵士が怯えるのとは桁違いの悪影響を与えることになりますね。
なにせ指示する人が冷静ではなくなり、その指示は吟味されたものではなく突発的なものと見なされて兵士の間で一気に不安が広がり信用されることはもうないでしょう。
そうなってはもはや作戦どころではなく目も当てられない光景となってしまいますね。
なので立場によって不安が伝播することによる影響は桁違いに変わる為、指示する側の人間は基本焦りや迷いを見せないことが必須となります。
もちろん部下の動揺に一緒に感染するなど以ての外です。
指揮する人は戦況の全体のひどさを嫌でも見なければなりません
銃弾が撃ち込まれ榴弾は激しく頻りに炸裂して、数時間前まで話をしていた者が倒れていく
そのような惨劇を目撃しても冷静でいろというのはとんでもなく困難です。
・・・過去に全然戦況を見ず精神論でなんとかなると作戦を全然変えなかった国もあるのですケド
物言わぬ兵士
投資の場合、兵士とはお金のことです。
どこにどれだけの規模を派遣して成果を得るか、もちろん多いに越したことはありません。
そして幸いなことにお金は物ですので人間の兵士のように感情的になることはないです。
恐怖で勝手にどこかに行くこともなく命令された箇所に投資すればそこに居続けます。
決して恐怖せず命令に忠実という理想的な兵士ですね。
ただ、問題点もあります、それはあまりにも物を言わないことです
現実の戦闘で現地でしかわからないこと、聞いていた情報とのズレがあった場合人間の兵士であればもしかしたら「現状の作戦では成功率は高くない」という声が上がるかもしれません。
そして運良くその言葉を聞くことができ、再検討を凝らした結果欠点を見つけ最悪な事態を回避することができたということもあります。
しかし、お金は基本何も言いません。
良いことも悪いこともなにも言わずただ指示されたことするだけです。
なので現地にてなにか予想外のことが起きた際、兵であるお金が各対応をして解決してくれるということは決してないことを覚えておいてください
すべては将士次第
まず投資での兵士や将士は
兵士→運用資金(レバレッジも含む)
将士→投資家
君主(無借金の個人投資家なら無し)→会社や金融
です。
物いう兵士
基本お金である兵士は物を言ってこないと書きましたが一部例外があります。
正確に表現すると「兵士に物言わす存在がいる」ことです
それは信用取引やレバレッジ取引・または借りたお金で投資を行う時に現れます。
言わばこのお金は雇われです、将士である投資家の言うことをある程度聞きますが最大の雇い主は君主である「会社や金融」であり、一定の規則が決まっていることに注意してください。
まず、信用取引できる場所が投資銀行によって決まっていて好きなところに投資できないと言うことがあります。
東証でいうプライムなら基本どこでも問題ないですがスタンダードもしくはグロースの銘柄には投資できないという規則が存在することもあります。
そしてなにより、取引区分によっては一時的に撤退(強制決済)することもあります。
信用買いや信用売りであれば「半年・無期」があり、「半年」の場合売買後半年後に必ず決済が起きます。
その段階で元手に余裕があればまた同じ売買を繰り返せば良いのですが、もしもなければそこで強制的に終了となってしまいます。
雇われたお金は投資銀行に帰って行ってしまいます
つまり待てる期間が決まってしまうことです。
そしてもうひとつ、状況が悪化していくと「撤退すべき」と雇われた兵士は言ってきます。
借りている物なので当然ですが投資銀行も損を被りたくないので返済が確実な内に撤退させようとします。
その撤退命令こそが「追証」ですね。
兵士は何も言わず命令従順、将士である会社や金融はなし
となると成功を左右するのは将士の判断のみとなります
幸いにも将士である投資家がどれほど焦ったり不安になったとしても指示さえしなければ兵に影響はありません。
しかし、指示を行ってしまうと話は別です。
一度売買命令を出してしまえば兵士は文句も何も一つ言わず行動に移します。たとえそれが誤った判断でもです。
撤退に対する認識
余談ですが東洋は「孫子」・西洋は「戦争論」と言われるように撤退に対する見方として戦時中に撤退命令が出たときに顕著に表れました。
戦争論を中心とした西洋は戦況が良いと見える時でも撤退命令が出た時はすぐに兵士は撤退の準備を行いました。
判断の三位一体を兵士も理解しており、本能的判断で兵が現地で行動してしまう危険性共有していたからです。
一方の孫子の東洋、孫子の兵法の中には兵士を追い込み奮い立たせるという教えもあります。
そして状況が良い悪い関わらず撤退命令が出ても「こんなに流れが来ているのに撤退とは言語道断」や「ここで引いては死んでいった同士に浮かばれない」と現地判断で無視することがありました。
言わば精神論ですがこれがどこまで良くて成功率が高いかは想像におまかせします
このような事例から見て投資は圧倒的に前者です。
もちろん孫子の兵法が完全に役に立たない訳ではなく
あくまである部分は戦争論を参考にして他の部分は孫子の兵法を参考といったそれぞれ皆さんに合った具合を見つけてもらう必要があります。
これが理由で今なおクラウゼヴィッツと孫子、どちらが有効かの議論は続いております。
そして将士は恐ろしい戦況を目にしても冷静にいなければならないように、投資家も時に恐ろしい損が計上(含み損)されても冷静にいなけらばなりません。
時間が経つ度に損が増えても冷静に、描いていた作戦に戻るかそれとも撤退するか判断を行いましょう。
兵士は何も助けて助言してくれないので頼れるのは将士であるあなた自身だけですよ!
1 兵士であるお金はあまりにも物を言わない
2 成功か失敗かは将士である投資家に握られている
3 雇われたお金である信用取引資金は物言う兵士になる